
- 日本酒の知識
酒のしおり | 2024年の日本酒輸出拡大戦略
日本酒の輸出は年々増加しており、特に政府の「2025年までに農林水産物・食品の輸出金額を2兆円、2030年までに5兆円」という目標のもと、清酒は輸出重点品目として位置づけられています。国税庁や関係機関は、販路拡大、認知度向上、輸出規制の緩和を目的とした支援策を展開し、日本産酒類の国際市場での競争力を高める取り組みを進めています。
日本酒の輸出動向
主要輸出市場と輸出額
令和5年の日本産酒類の輸出金額は1,344億円であり、そのうち清酒の輸出額は411億円でした。主な輸出先としては、中華人民共和国(322億円)、アメリカ合衆国(237億円)、韓国(143億円)が挙げられます。
市場開拓の課題
日本酒の輸出市場は拡大しているものの、輸出先国によっては関税が高く、容器の容量規制などの非関税障壁も存在します。これらの規制の緩和を目指し、政府は国際交渉を通じた関税削減や規制の緩和を進めています。
輸出促進策
販路開拓支援
日本産酒類の海外販路を拡大するため、国税庁は以下の施策を実施しています。
- 海外展示会への出展(バイヤーとの商談機会の提供)
- 酒類輸出コーディネーターの配置(現地での市場調査・販売支援)
- 商談会やプロモーションセミナーの開催(輸出事業者と現地バイヤーのマッチング)
また、国内でも輸出に意欲的な酒類製造事業者と商社・卸売業者をマッチングする「日本産酒類輸出促進コンソーシアム」の活動が行われています。
ブランド価値向上と認知度向上
日本産酒類の海外市場での評価を高めるため、以下の取り組みが進められています。
- 地理的表示(GI)制度の活用(地域ブランドの確立)
- 海外の日本文化発信拠点でのプロモーション(ジャパンハウスでのイベント開催)
- 海外の酒類専門家を招いた酒蔵ツアーの実施 これらの活動を通じて、日本酒のブランド価値を高め、消費者の認知度向上を図っています。
今後の展望
新興市場への展開
既存の主要市場(中国・アメリカ)に加えて、新たな市場として東南アジアやヨーロッパへの輸出拡大が期待されています。特に、成長著しいベトナムやインドネシアでは、日本食文化の普及とともに日本酒の需要が高まっています。
規制緩和と市場環境整備
日本産酒類のさらなる輸出拡大には、輸出国の規制緩和が不可欠です。政府は経済連携協定(EPA)や地域的包括的経済連携(RCEP)を活用し、関税引き下げや輸出手続きの簡素化を進めています。
日本酒の輸出市場は拡大を続けており、国税庁や関係機関は販路拡大やブランド価値向上の施策を推進しています。新興市場の開拓、規制緩和、プロモーション活動の強化が今後の成長の鍵となります。持続可能な輸出戦略を展開し、世界市場における日本酒の地位向上を目指すことが求められています。
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詳細を見る清酒(せいしゅ)は、日本酒を指し、米と水を主成分として発酵させて作られる酒類です。醪(もろみ)を漉すことによって、澄んだ酒に仕上げられる点から「清酒」という名称が生まれました。また、清酒は特に醸造アルコールを添加せず、純粋に米の成分から生成されたものを指す場合が多いです。飲み方や提供方法も多様で、和食との相性が良く、冷やしても、温めても楽しむことができます。最も代表的な日本の伝統的な酒であり、国内外で高く評価されています。
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