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日本酒のアルコール度数ってどれくらい?特徴や度数の秘密を解説!

公開:2024/10/25

更新:2024/10/25

酒ガイド編集部

日本酒のアルコール度数は一般的にどれくらいかご存知でしょうか?

市場に流通している日本酒の多くは、15度前後となっていて、ワインやビールなど他の醸造酒と比べるとやや高めのアルコール平均度数です。またアルコール度数の幅も広く、低いものは5度程度から高いものは22度程度まで様々な種類があります。

今回の記事では、日本酒のアルコール度数の特徴や、その製造方法による違いについて詳しく解説していきます。

日本酒のアルコール度数が高い理由

日本酒は、醸造酒の一種です。
醸造酒とは、原材料を発酵させてアルコールを生成するお酒のことを指します。

ビールやワインもこのカテゴリに含まれ、日本酒はその中でも特に独自の製法と高いアルコール度数を持つお酒です。
同じ醸造酒なのに、なぜ日本酒はアルコール度数が他よりも高いのでしょうか?

醸造酒の種類

平均アルコール度数

ビール

約5度

ワイン

約12度

日本酒

約15度

答えは、日本酒の作り方に関係しています。

日本酒は「並行複発酵」という特別な方法で作られます。この方法では、お米のデンプンを糖に変える作業と、糖をアルコールに変える作業が同時に行われるため、発酵が効率よく進みます。
他の醸造酒が1馬力で進むところを、日本酒は2馬力で作業を進めているようなものです。
その結果、自然とアルコール度数が高くなるのです。

また、発酵を途中で止めずに続けることで、さらに高い度数にすることができます。

もろみ

日本酒の種類とアルコール度数

日本酒にはさまざまな種類があり、それぞれアルコール度数にも違いがあります。

日本酒の種類

アルコール度数

一般的な日本酒

15度前後

原酒

18度〜

低アルコール日本酒

5〜13度

※「日本酒」のアルコール度数上限(参考)

22度未満

一般的に市場で見られる日本酒の多くは15度前後ですが、特に「原酒」と呼ばれるものは18度以上と高めの度数が多いです。原酒は水で薄めていないため、濃厚な風味と強いアルコール感を楽しむことができます。

一方、5度前後〜13度ほどの低アルコールの日本酒も存在し、飲みやすいものもあります。低アルコール日本酒の中には、甘味が強くデザート感覚で楽しめるものも多くあり、日本酒初心者にもおすすめです。

ちなみに「日本酒」や「清酒」と表記するには、アルコール度数が22度未満である必要があります。
日本酒の中で一番度数が高いのは、玉川酒造の「越後武士」という銘柄で、アルコール度数は46度。酒税法上は「スピリッツ」(リキュール類)に分類されています。


アルコール度数と味わいの関係

アルコール度数は日本酒の味わいにも大きく影響します。

アルコール度数が高いと、味わいがしっかりとして濃厚な印象になります。一方で、アルコール度数が低いと、軽やかでフルーティーな味わいになりやすいです。

自分の好みに合ったアルコール度数の日本酒を選ぶことで、より一層日本酒の魅力を楽しむことができます。

アルコール度数が18度以上のものも。原酒とは

原酒とは、搾った後に水で割らずにそのまま瓶詰めした日本酒のことを指します。通常の日本酒は、アルコール度数を調整するために水を加えますが、原酒は加水を行いません。

そのため、アルコール度数が比較的高めで、力強く濃厚で深みのある味わいを楽しめることから、特に通の方に好まれる傾向があります。

原酒の一種で、「無濾過原酒」という種類もあります。
これは搾ったお酒を濾過・加熱処理なしに、そのまま瓶詰めしたタイプの日本酒です。
無濾過原酒は、その製法から生まれるフレッシュでピュアな風味が魅力。アルコール度数は一般的に16〜19度とやや高めで、力強い味わいが楽しめます。最近ではこの特別な風味が注目を集め、無濾過原酒を扱う蔵元も増え、高い評価を受けています。

原酒辛口で初心者には飲みにくいのではと思われるかもしれませんが、実は深いコクと香りがあり、意外と甘口や飲みやすいものも多いです。

ついつい飲みすぎて悪酔いしないよう、量とペースには十分注意してください。
和らぎ水(お酒と一緒に飲む水)は、酔いを和らげ、体への負担を軽減する効果があります。飲み会の際など、こまめに和らぎ水を摂ることを心がけましょう。

おすすめのアルコール度数が高い原酒





おすすめの無濾過生原酒






13度以下の低アルコール日本酒

低アルコールの日本酒は、一般的に13度以下のものを指します。
アルコール度数が抑えられているため、軽やかな飲み心地が特徴で、特にアルコールが強いお酒が苦手な方におすすめです。近年、健康志向の高まりや飲酒シーンの多様化により、低アルコール日本酒の需要は増加傾向にあります。
たとえば2024年には、大手酒造メーカーからアルコール5%の低アルコール日本酒が販売され、日本酒好きの間で大きな話題となりました。


おすすめの低アルコール日本酒






低アルコール日本酒には、フルーティーな香りと自然な甘味が特徴のものが多く、女性や日本酒初心者にも人気があります。

アルコール度数がネックなら、アレンジも◎

日本酒はそのまま飲むだけでなく、いろいろな飲み方で楽しむことができます。

ウイスキーで人気のハイボールは、日本酒でも楽しむことができます。
日本酒を炭酸水で割ることで、爽快で飲みやすいハイボール風のアレンジが完成。このアレンジは、特に夏の暑い日や軽く楽しみたい時におすすめです。

また、ロックで飲むと、日本酒の風味が際立ち、冷たさとともに深い味わいを楽しむことができます。特に原酒と名のつく日本酒は、アルコール度数が高く、ロックで飲むことでより複雑な香りとコクを楽しむことができ、お酒好きにはたまらない選択肢です。

それ以外にも、飲み方に「ロックがおすすめ」と書かれている日本酒もいくつかあります。

さらに、出汁割りという飲み方も通には人気です。

出汁割りとは、日本酒に昆布や鰹節などから取った出汁を加えた飲み方で、うま味が増してまろやかな味わいになります。特に、寒い季節には温かい出汁割りが体を温めてくれるため、"ほっこり"すること間違いなしです。

ハイボールにおすすめの日本酒





オンザロックにおすすめの日本酒





出汁割りにおすすめの日本酒





まとめ

日本酒は、アルコール度数の幅広さによって、さまざまなシチュエーションで楽しむことができます。軽く飲みたいときには低アルコール日本酒、しっかりとした味わいを楽しみたいときには原酒など、自分の気分や好みに合わせて選べるのが魅力です。

アルコール度数によって変化する味わいを楽しみ、ぜひ自分好みの日本酒を見つけてみてください。

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