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三倍増醸酒

さんばいぞうじょうしゅ

三倍増醸酒(さんばいぞうじょうしゅ)は、戦後の米不足に対応するために考案された日本酒の一種です。この手法では、米と米を使って仕込まれたもろみに、日本酒と同様の濃度に調整した醸造アルコールを加えます。これにより、もろみの味わいが薄まるため、糖類(例:ブドウ糖や水あめ)、酸味料乳酸コハク酸など)、グルタミン酸ソーダなどの添加物が使用され、風味を補強します。

結果として、この手法により日本酒の量が約3倍に増えることから「三倍増醸酒」という名称が付けられ、略称として「三増酒(さんぞうしゅ)」とも呼ばれていました。しかし、三倍増醸酒は現在では存在せず、平成18年の酒税改正により「二倍増醸酒」という名称に変更されました。なお、三倍増醸酒はそのまま出荷されることはなく、他の日本酒とブレンドされて製品化されることが一般的でした。この手法が生まれた背景には、戦争による影響があったことを忘れてはなりません。

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三倍増醸(さんばいぞうじょう)とは、日本酒の製造方法の一種で、通常の清酒の製造基準において、原料として米、米麹、水に加え、原料用アルコールや糖類、酸などを添加することで、原料米の量に対して約3倍の清酒を生産することができる技術を指します。この方法では、増産を目的として成分を追加するため、純米酒とは異なり、木桶仕込みや自然発酵を重視せず、効率的に大量生産することができます。三倍増醸によって生まれる日本酒は、一般的に飲みやすく、コスト効果が高い製品として市場で流通していますが、純米酒とは風味や香り...

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コハク酸は、清酒において重要な役割を果たす有機酸の一つで、乳酸と並んで最も多く含まれる成分です。この酸は、特有の旨味を持ち、清酒の味わいに深みを与える要因となっています。コハク酸は、発酵過程で生成され、清酒のフルーティーで複雑な香りや味わいを引き立てる大切な成分です。また、コハク酸ソーダは、貝汁の旨味成分としても知られ、料理の風味を引き立てるために利用されます。コハク酸の存在により、清酒はより一層豊かな味わいを持つことができます。

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酸味料とは、日本酒製造において味を調整するために使用される有機酸のことを指します。具体的には、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸などが含まれます。これらの酸味料は酒の風味を引き締め、バランスの取れた味わいを作る役割を果たします。酸味は日本酒の味わいにとって重要な要素であり、酸味料の配合によって製品の個性やスタイルに影響を与えることができます。日本酒のラベルでは、これらの酸が「酸味料」として表記されることがありますが、個別の名称での表示も可能です。

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増醸酒(ぞうじょうしゅ)は、主に三倍増醸法を用いて醸造された清酒です。この方法では、酒の製造過程で雑酵母を用いて元の酒の量を三倍まで増加させることで、より多くの日本酒を生産します。増醸酒は多くの場合、価格が手頃で香りや味わいが軽やかなので、日常的に楽しむことができる日本酒として人気があります。ただし、純米酒や本醸造酒に比べると、風味や香りの深みはやや劣るとされています。

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三増酒(さんぞうしゅ)は、第二次世界大戦後の米不足の時代に考案された日本酒の一種です。元々の醪に水と醸造用アルコールを加えて増量されるため、「三増」という名が付けられています。具体的には、絞り出した酒にこれらの成分を加えることで、約3倍に増量される過程が行われます。薄まった味わいを補うために、ブドウ糖や水飴、乳酸、コハク酸などの成分が使用されることが特徴です。このため三増酒は本来の清酒とは異なり、風味や飲みごたえが変化しやすいと言えます。一般的には、単に「増醸酒」とも呼ばれています。

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糖類は、日本酒の醸造過程において重要な役割を果たす成分です。主に醪(もろみ)に含まれ、発酵の過程で生成されます。清酒中の糖類は、主にグルコースが占めており、これに加えてマルトース、イソマルトース、パノース、イソマルトトリオースなどのオリゴ糖も微量存在しています。 糖類は日本酒の甘みやコクを形成する要素であり、味の調整にも利用されます。特に増醸酒を製造する際には、味のバランスを整えるために、水飴やブドウ糖が加えられることがあります。これにより、飲みやすさや風味が向上し、消費者に喜ばれる特性を持...

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乳酸は、日本酒の醸造過程において非常に重要な役割を果たす有機酸です。特に、酒母(もと)の製造において、酵母の純粋かつ大量な培養を促進するために重要です。 酒母は、発酵の基盤となる部分で、ここでの乳酸の生成は特に重要です。生酛系(きもとけい)酒母では、自然界に存在する乳酸菌を取り込み、その働きによって乳酸が生成されます。一方で、速醸系(そくじょうけい)酒母では、あらかじめ醸造用の乳酸を添加することにより、短期間での酒母の立ち上げを実現します。 乳酸は、醪(もろみ)の初期段階で汚染の危険が高い時...

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麹(こうじ)は、主に米や麦に対して麹菌(こうじきん)を繁殖させたもので、日本酒を始めとする発酵食品の製造に不可欠な役割を果たします。特に日本酒の醸造においては、蒸した米に黄麹菌を育成させた米麹が使用され、この中で生成される酵素が重要です。 麹の成分には、米の中に含まれるデンプンをブドウ糖に変換するためのアミラーゼなどの糖化酵素や、米の蛋白質をアミノ酸に分解するための酵素が含まれています。これにより、米から得られる糖やアミノ酸が酒母やもろみの発酵を助け、日本酒特有の風味や香りを生み出します。 ...

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