柱焼酎
はしらしょうちゅう
柱焼酎(はしらしょうちゅう)とは、日本酒の製造過程において、醪の末期に焼酎を添加したり、搾りたての清酒に焼酎を混和する手法を指します。この技法は江戸時代初期に伊丹で始まり、地方へと広まりました。一部の酒造りの工程、特に諸白造りに組み込まれるようになりました。
江戸時代の酒造書には、「醪に少量の焼酎を加えると、酒の香味がしっかりし、火落ちや酸敗が起きにくい」という教えが記されています。日本酒の製造は、目に見えない微生物相手の繊細な作業ですが、悪性の微生物が発酵中に入り込み、もろみを腐らせる「腐造」が起こることも少なくありませんでした。このため、江戸時代にアルコール度数の高い焼酎を加えることで、もろみが腐りにくくなることが発見されました。これが柱焼酎という名称の由来であり、実質的にはアルコール添加の原型を成しています。
当初の目的は主に防腐でしたが、今日の日本酒造りにおいても、アルコール添加の手法は引き続き用いられています。柱焼酎は、江戸時代の伊丹酒で江戸送りの酒を製造する際に重要な役割を果たしていたこともあり、現在に至るまでその技法は重要視されています。
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アルコール添加とは、上槽前の醪(もろみ)にアルコールを加える製造方法のことを指します。第二次大戦後の原料米不足を背景に、昭和18酒造年度からこの手法が認められるようになりました。当初は米の不足を補うための手段として導入されましたが、現在では清酒の香味を軽快にする目的や、製造コストの削減を図るために行われています。アルコール添加によって、酒の風味や飲み口のバランスを調整し、様々なスタイルの清酒が生み出されています。
詳細を見るアルコール度数とは、酒類に含まれるエチルアルコールの容量割合を指します。これは一般的に、酒の持つアルコールの濃度を示す指標で、度数で表示されます。日本酒の場合、最も一般的なアルコール度数は15度前後ですが、それ以下の低濃度アルコール酒(15度以下)や、より高い原酒(18~20度)のバリエーションも存在します。アルコール度数は、清酒の品質や味わいに大きく影響を与え、酒造りにおける重要な要素の一つです。アルコール度数の測定は、清酒を特定のプロセスで蒸留し、水を加えて元の濃度に戻した後、15度で計測する方法...
詳細を見る火落ち(ひおち)とは、日本酒の製造過程において、火落菌(ひおちきん)が増殖することで発生する現象を指します。これにより、酒が白濁したり、酸味が増加したり、特有の火落ち臭が生じることがあります。火落ち臭は主にジアセチルや揮発酸に起因し、妊娠初期のつわりを連想させる香りとされます。火落ちが発生すると日本酒の風味が劣化し、品質が低下するため、醸造過程での衛生管理が重要になります。
詳細を見る酸敗(さんぱい)とは、日本酒の製造過程において、特に清酒の醪(もろみ)中で乳酸菌が過剰に増殖し、発酵が異常になる現象を指します。これにより、酸度が通常よりも高くなり、香味が損なわれることがあります。酸敗が起こると、日本酒は酸味が強く、嫌な香りが伴うことが多く、品質が著しく低下します。主に衛生管理が不十分、温度管理が適切でない場合に起こりやすく、製造過程において注意が必要です。酸敗を防ぐためには、適切な清掃や殺菌、適切な温度での発酵管理が重要です。
詳細を見る**諸白(もろはく)** 諸白とは、日本酒の製造方法の一つで、麹米と掛米の両方に精白米を使用して造る酒を指します。この方法は、16世紀中頃に奈良県の菩提山正暦寺で起源を持ち、当初はケタ外れの香りと味わいで名を馳せた南部(奈良)諸白として高級酒とされました。 この技法は、すべての原料米が精白された日本酒を造る基盤となり、清酒の原型とも言われています。従来は、掛け米のみを精白する「片白」が主流でしたが、元禄年間には諸白造りが各地で広まり、今日の日本酒製造のスタンダードとなりました。この術が発展すること...
詳細を見る腐造とは、日本酒の醪(もろみ)が雑菌によって腐ってしまう現象を指します。この腐造性の雑菌には、例えば乳酸菌や野生の酵母が含まれ、それらが醪に侵入することで、発酵プロセスが正常に進行せず、酸っぱくなったり異臭を放つ状態になります。腐造が発生すると、醪の品質が著しく低下し、飲用には適さなくなるため、残念ながら廃却することが一般的です。日本酒造りでは、衛生管理が非常に重要であり、腐造を防ぐために清潔な環境での醸造が求められます。
詳細を見る発酵とは、微生物が基質を分解し、エネルギーを得る過程のことを指します。日本酒の製造においては、主に酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に変換することで、酒を醸造します。発酵は、呼吸と異なり、基質が完全に酸化されることはなく、その過程でアルコールや有機酸などの有用な物質が生成されるのが特徴です。これにより、酒独特の風味や香りが生まれ、風味豊かな日本酒ができあがります。発酵は、酒造りにおいて非常に重要な工程であり、温度や時間、酵母の種類などによってその結果が大きく変わります。
詳細を見る焼酎とは、日本の伝統的な蒸留酒であり、主に二つのカテゴリーに分類されます。甲類焼酎は連続式蒸留機を使用し、アルコール分は36度未満で、一般的にホワイトリカーと呼ばれています。乙類焼酎は単式蒸留機を使用し、アルコール分は45度以下で、本格焼酎とされます。焼酎はウイスキーやブランデーなどの蒸留酒とは異なるため、法律上別のカテゴリに分類されています。 また、焼酎にはさまざまな種類があり、乙類焼酎の場合、主原料によって多様な製品が存在します。例えば、米を主原料とする米焼酎、さつまいもを使ったいも焼酎、麦...
詳細を見る清酒(せいしゅ)は、日本酒を指し、米と水を主成分として発酵させて作られる酒類です。醪(もろみ)を漉すことによって、澄んだ酒に仕上げられる点から「清酒」という名称が生まれました。また、清酒は特に醸造アルコールを添加せず、純粋に米の成分から生成されたものを指す場合が多いです。飲み方や提供方法も多様で、和食との相性が良く、冷やしても、温めても楽しむことができます。最も代表的な日本の伝統的な酒であり、国内外で高く評価されています。
詳細を見る搾りとは、日本酒の製造過程において、醪(もろみ)から清酒を取り出す工程を指します。この過程では、主に「槽による搾り」や「袋吊り」といった方法が用いられます。 「槽による搾り」とは、酒槽と呼ばれる専用の容器に、醪を詰めた酒袋を敷き詰め、その上から圧力をかけて清酒を搾り取る方法です。この手法によって、旨味や香りを豊かに持った清酒が得られます。 もう一つの方法である「袋吊り」は、醪を詰めた袋を吊るし、自然に滴り落ちる清酒を集める方式です。この方法では、重力を利用して清酒がゆっくりと分離され、滑らか...
詳細を見る醪(もろみ)とは、日本酒の醸造過程における主発酵の状態を指す用語です。酒母(しゅぼ)、麹(こうじ)、蒸米(むしまい)、仕込み水を組み合わせてタンク内で発酵させたもので、酒造りの中心的な工程となります。具体的には、酒母に水、麹、蒸米を数回に分けて投入し、糖化と発酵を進めることで、清酒の基盤を形成します。 醪の発酵が進むと、アルコールと二酸化炭素が生成され、液体部分が酒(原酒)となり、固形物が酒粕として分離されます。醪は一般的には酒類となる前の段階であり、酒税法においては発酵を行った原料の状態を...
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