醪の状貌
もろみのじょうぼう
醪の状貌とは、日本酒の醪(もろみ)における泡の状態や表面の様子を表す用語です。醪は、米と水、さらに酵母と麹(こうじ)を混ぜ合わせて発酵させた状態のことを指します。発酵が進むと、醪の表面にはさまざまな泡が現れ、その状態は変化していきます。
最初に現れるのは、酵母の働きによってできる泡で、これを筋泡(すじあわ)と呼びます。数日が経過すると、さらに白くて軽い泡が広がり、これを水泡(みずあわ)と呼びます。水泡の後には、泡が盛り上がり、岩のような形になることから岩泡(いわあわ)と名付けられます。この状態から泡がさらに高くなると高泡(たかあわ)となり、逆に泡が低くなっていく段階を落泡(おちあわ)と呼びます。
泡が落ちた後には、シャボン玉のような軽い泡が残り、これを玉泡(たまあわ)と言います。最後に、泡が消えて醪の表面が現れると、「地(じ)」と呼ばれる状態になります。地の状態は多様で、何も浮かんでいない状態を坊主(ぼうず)、薄い膜状の泡が浮いている状態をチリメン泡(うすかわ)または薄皮(うすかわ)、米粒のような形状が厚く浮いている場合には厚蓋(あつぶた)や飯蓋(めしぶた)と呼ぶこともあります。
このように、醪の状貌は日本酒の発酵過程における重要な指標であり、泡がどのように変化するかによって発酵の進行状況を確認することができます。
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